輪状種は、進化が新しい種を作ることはないと考えている人々に大きな問題を突きつける。と同時に生命の世界を「種」によって分類しようと試みる研究者にも興味深い問題を提示する。「輪状種」と「別個の二種」を区別するのは、輪状種の両端を繋いでいる中間の集団である。中間の集団の多くが死ねば、輪状種は「別個の二種」となる。
大きな問題は、これらを一つの種とすべきか(全ての個体同士が子を作れるわけではないにもかかわらず)、それぞれの集団を異なる種とすべきか(隣接した集団同士は交配可能であるのにもかかわらず)である。輪状種は一般に理解されているほど種概念が単純でも明確でもないことを示している。
右上の画像で、一繋がりになっているバー(A,B,C)が輪状種を表す。赤、青などのそれぞれの色は地域個体群や
亜種を表す。Aのように直線上に並んでいる場合もあれば(例えば山の斜面に沿って)、Bのように円状に分布している場合もあり(例えば湖の周囲に沿って)、Cのように終端同士が重複して生息している場合もある。そして終端の個体群同士は交雑しないほど遺伝的に離れている。
輪状種の典型例は北極を囲むように生息している
カモメである。
セグロカモメは主に
グレートブリテン島と
アイルランドに住んでいる。それは北アメリカに住んでいるアメリカセグロカモメと交雑することができる。それは東シベリアに住むヴェガセグロカモメと交雑できる。それは西シベリアに住むビルラカモメと交雑でき、ビルラカモメはホイグリンカモメと交雑できる。それはシベリアニシセグロカモメと交雑でき、最後にそれは北欧に住む
ニシセグロカモメと交雑できる。ニシセグロカモメとセグロカモメは明確に異なっている上、通常交雑しない。このようにヨーロッパで重なる部分を除き、カモメの群れは連続した集団を形作っている。