チャールズ自身は「ゆるやかな変化」などを用いた表現が多く、「進化(evolution)」という言葉自体を大きく嫌っていたらしい。 有名な『
種の起源』においても、その第5版にまで「進化」という単語は存在しない。チャールズが祖父を大きく嫌っていたため、と見る向きもあるが、エラズマスの論が実施や実験、経験を軽んじているがため、とチャールズ自身は著している。
ただ、チャールズが当初
系統発生にエラズマスの提唱したevolutionの語を当てなかった事に関して、当時のevolutionという語の示す概念は元来
個体発生、特に
前成説的個体発生概念においてあらかじめ用意された個体の構造が展開生成するプロセスを指していたのを後になって系統発生のプロセスを指す語に援用したものであったことはもっと注目されてよいだろう。チャールズの「種の起原」で展開されている議論は系統発生と進歩を区別し、その定められた方向性を否定するものであったからである。つまり、チャールズの「進化論」の内容と"evolution"の本来の語義は親和性が良いとは言えないのである。